昨年、母方の祖父が亡くなりました。祖父母の現住所は、関東から2,3時間の地方都市。年に数回は会いに行っています。ですが祖父の一族のお墓はそこからかなり田舎に入った土地にあり、車が無ければ行けないような遠い山奥。母方ということ、遠方だということを理由に、私も幼い頃に数えるほど行った程度でした。 祖父は体を壊して寝込む前に、財産の整理や保険の手続きなど、所謂「終活」の簡単なものをしてくれていたので、祖父の死後も事務手続きはすんなり行えました。 そんな祖父が唯一できなかったこと、それが「お墓の引っ越し」です。 自分が入ることになる一族の墓は僻地にあり、残す家族や親戚の負担になるだろう。お葬式やお参りも行きづらいし、管理にも手間をかけてしまう。そう思った祖父は、生家近くにあった元のお墓を、現住所近くの地方都市まで動かすため、お墓のあるお寺にこっそり相談していたようです。 ですが結果は、「不可能」。お寺からはひどく叱られてしまったと、あとから親戚づてに聞きました。 同じ宗派や、所縁・つながりのあるお寺同士だとしても、寺同士の関係性や権利の兼ね合いがあり、住職の許可が下りることは稀だそうです。 祖父の気遣いは嬉しく思いながら、小旅行の気分でお墓参りに通っています。 |